御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「まさか! 高校生の頃にはもう男性が怖かったですし。憧れはしましたけど、行ったことは……」
そう小夜莉がうつむいたとき、雅人が「じゃあ」と声を出す。
「小夜莉が誰かと行った経験があるなら不愉快だと思ったが……」
「え?」
「そうでないなら、行ってみたい。いいか?」
雅人に顔を覗き込まれ、小夜莉は驚いたように目を丸くする。〝しあわせの鐘〟だなんて少し子供じみたイベントを、大人な雅人は興味を持たないと思ったのだ。でも本当は小夜莉も、いつか自分が恋をすることができたら行ってみたいと憧れていた場所だ。
「私も行きたいです」
小夜莉が顔を上げると雅人は嬉しそうにほほ笑む。ふたりは手をつなぎ、岬へと続く階段を上りだした。休日とは言えそろそろ日が傾きだした夕暮れ時は、歩いているひとは誰もいない。風の冷たさを感じ、小夜莉は自分の首元の薄手のストールをキュッと巻くと、再び足を進めた。
「わぁ、海がオレンジに輝いている」
階段を上りきった小夜莉は、突然目の前に広がる光景に思わず声を上げる。凪いだ海に夕日がキラキラと輝く様子は、まるで広げた宝石箱のようだ。
小夜莉は雅人と手を取り合うと、アーチ状のフレームの真ん中で揺れる〝しあわせの鐘〟の前に立つ。ふたりで紐に手を添えると、ゴーンと重厚感のある音が響き渡った。
「ロマンチックですね」
その音に耳を澄ませながら、小夜莉は「あ……」と顔を上げる。そして鞄からスマートフォンを取り出した。
そう小夜莉がうつむいたとき、雅人が「じゃあ」と声を出す。
「小夜莉が誰かと行った経験があるなら不愉快だと思ったが……」
「え?」
「そうでないなら、行ってみたい。いいか?」
雅人に顔を覗き込まれ、小夜莉は驚いたように目を丸くする。〝しあわせの鐘〟だなんて少し子供じみたイベントを、大人な雅人は興味を持たないと思ったのだ。でも本当は小夜莉も、いつか自分が恋をすることができたら行ってみたいと憧れていた場所だ。
「私も行きたいです」
小夜莉が顔を上げると雅人は嬉しそうにほほ笑む。ふたりは手をつなぎ、岬へと続く階段を上りだした。休日とは言えそろそろ日が傾きだした夕暮れ時は、歩いているひとは誰もいない。風の冷たさを感じ、小夜莉は自分の首元の薄手のストールをキュッと巻くと、再び足を進めた。
「わぁ、海がオレンジに輝いている」
階段を上りきった小夜莉は、突然目の前に広がる光景に思わず声を上げる。凪いだ海に夕日がキラキラと輝く様子は、まるで広げた宝石箱のようだ。
小夜莉は雅人と手を取り合うと、アーチ状のフレームの真ん中で揺れる〝しあわせの鐘〟の前に立つ。ふたりで紐に手を添えると、ゴーンと重厚感のある音が響き渡った。
「ロマンチックですね」
その音に耳を澄ませながら、小夜莉は「あ……」と顔を上げる。そして鞄からスマートフォンを取り出した。