御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「あ、ありがとうございます……」
そう言って顔を上げた小夜莉は、目の前に立つ人にはっと目を見開く。
「み、御子柴社長……?」
なんとも言えない表情で立っているのは、つい数十分前に研究所で会ったばかりの雅人だ。
(ど、どうして社長がここに……)
小夜莉は酷く動揺すると、サッとスマートフォンを受け取って、雅人から離れた所で俯いた。
雅人はしばらく口を閉ざしていたが、やや困ったように頭に手を当てると、小夜莉に顔を向ける。
「まぁ、なんというか。大変だったな」
それは小夜莉を最大限気づかうように、優しく発せられる。
でもその言葉に、小夜莉はバッと勢いよく顔を上げた。つまり雅人はあの騒動を見ていたということだろう。
「ど、どこまで見てたんですか⁉」
次第に顔を青ざめ冷める小夜莉に、雅人は「まぁその、一部始終」と口ごもる。
まさかこれから自社の社長になろうかというひとに、あんな修羅場を見られるなんて、大失態にも程がある。
しかもここに来る前には、気を失ったり取り乱したり、ただでさえ信用を失い兼ねない行動を見られているのだ。
「お、お見苦しい所をお見せしました。できればこの件は――」
『内密にして欲しい』と小夜莉が言いかけた時、軽やかに誰かがこちらへやってくる足音が聞こえる。そのひとは小夜莉の隣で止まると、ポンと優しく肩に触れた。
「小夜莉!」
懐かしい声が耳元に響き、振り返ると母が満面の笑みで立っているではないか。
そう言って顔を上げた小夜莉は、目の前に立つ人にはっと目を見開く。
「み、御子柴社長……?」
なんとも言えない表情で立っているのは、つい数十分前に研究所で会ったばかりの雅人だ。
(ど、どうして社長がここに……)
小夜莉は酷く動揺すると、サッとスマートフォンを受け取って、雅人から離れた所で俯いた。
雅人はしばらく口を閉ざしていたが、やや困ったように頭に手を当てると、小夜莉に顔を向ける。
「まぁ、なんというか。大変だったな」
それは小夜莉を最大限気づかうように、優しく発せられる。
でもその言葉に、小夜莉はバッと勢いよく顔を上げた。つまり雅人はあの騒動を見ていたということだろう。
「ど、どこまで見てたんですか⁉」
次第に顔を青ざめ冷める小夜莉に、雅人は「まぁその、一部始終」と口ごもる。
まさかこれから自社の社長になろうかというひとに、あんな修羅場を見られるなんて、大失態にも程がある。
しかもここに来る前には、気を失ったり取り乱したり、ただでさえ信用を失い兼ねない行動を見られているのだ。
「お、お見苦しい所をお見せしました。できればこの件は――」
『内密にして欲しい』と小夜莉が言いかけた時、軽やかに誰かがこちらへやってくる足音が聞こえる。そのひとは小夜莉の隣で止まると、ポンと優しく肩に触れた。
「小夜莉!」
懐かしい声が耳元に響き、振り返ると母が満面の笑みで立っているではないか。