御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「私ね、今日は本当に嬉しくて――」
デザートがテーブルに運ばれ、コーヒーの芳醇な香りが漂いだした時、母が急に声を震わせると下を向く。
「小夜莉の男性恐怖症は、もう治らないんじゃないかって思ってたんです。だからこんな素敵な婚約者の雅人さんに会えるなんて、思ってもみなかったわ」
「お母さん……」
小夜莉は小さく声を出すと、ナプキンで涙を拭く母の顔を見つめる。
本当は、小夜莉の男性恐怖症は治ってはいない。そして今ここにいる婚約者も偽りの婚約者なのだ。
(このままお母さんに嘘をついたままでいいの……?)
こんなにも小夜莉を想ってくれる母に真実を告げないことに、胸の奥がチクリと痛む。
「あ、あのね……」
小夜莉がそう小さく口を開いた時、鼻をすすっていた母がパッと急に明るい顔を上げた。
「ねぇ、そろそろお母さんに、ふたりの馴れ初めを教えてくれてもいいんじゃない?」
「馴れ初め……?」
「そうよぉ。どっちから好きになったの? やっぱり小夜莉? 雅人さんイケメンだものねぇ」
ワクワクとした顔を覗き込ませる母に、小夜莉は「えっと……」と口ごもる。
やはりこれ以上は、嘘をつくことはできない。
「あのね――」
小夜莉が本当のことを話そうと心を決めて顔を上げた時、隣の雅人が真っすぐな瞳を母へ向けた。
「僕の一目惚れだったんです」
突然発せられたその声に、小夜莉は思わず「え⁉」と叫んでしまう。
驚いて振り返ると、雅人は小夜莉ににっこりとほほ笑んだ後、再び母へと目線を向けた。
デザートがテーブルに運ばれ、コーヒーの芳醇な香りが漂いだした時、母が急に声を震わせると下を向く。
「小夜莉の男性恐怖症は、もう治らないんじゃないかって思ってたんです。だからこんな素敵な婚約者の雅人さんに会えるなんて、思ってもみなかったわ」
「お母さん……」
小夜莉は小さく声を出すと、ナプキンで涙を拭く母の顔を見つめる。
本当は、小夜莉の男性恐怖症は治ってはいない。そして今ここにいる婚約者も偽りの婚約者なのだ。
(このままお母さんに嘘をついたままでいいの……?)
こんなにも小夜莉を想ってくれる母に真実を告げないことに、胸の奥がチクリと痛む。
「あ、あのね……」
小夜莉がそう小さく口を開いた時、鼻をすすっていた母がパッと急に明るい顔を上げた。
「ねぇ、そろそろお母さんに、ふたりの馴れ初めを教えてくれてもいいんじゃない?」
「馴れ初め……?」
「そうよぉ。どっちから好きになったの? やっぱり小夜莉? 雅人さんイケメンだものねぇ」
ワクワクとした顔を覗き込ませる母に、小夜莉は「えっと……」と口ごもる。
やはりこれ以上は、嘘をつくことはできない。
「あのね――」
小夜莉が本当のことを話そうと心を決めて顔を上げた時、隣の雅人が真っすぐな瞳を母へ向けた。
「僕の一目惚れだったんです」
突然発せられたその声に、小夜莉は思わず「え⁉」と叫んでしまう。
驚いて振り返ると、雅人は小夜莉ににっこりとほほ笑んだ後、再び母へと目線を向けた。