御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
清掃は深夜に行われるのだろうか? 全く人の気配がしない建物内は寒気すら感じてくる。
小夜莉は軽く身震いをすると、足早に自分のデスクがある第一研究室へと急いだ。
『職員を早くに帰らせる日って、こっそりお祓いとかしてるんだって』
真っ暗な廊下を進みながら、小夜莉は後輩達が面白おかしく笑っていた話を思い出す。
『お祓い⁉ なにそれ、ここって呪われてるの⁉』
『そういう噂! だってさぁ、おかしくない? 退職者は多いし、主任になると必ず病んじゃうし』
『うわ、怖っ! 悪霊でもいるってこと⁉』
『噂だよ噂! でもさぁ、今の主任って……』
きゃあきゃあと話していた後輩たちの声が急にひそひそ声になる。
『神崎さんだから大丈夫じゃない?』
『だよね。あの能面女史が相手じゃあ、悪霊も退散って感じだよね』
明らかにバカにするように、ぷっと吹き出す後輩の声を思い出していた小夜莉は、ふるふると大きく首を振ると、能面と呼ばれる所以の黒縁のメガネを押し上げる。
この研究所は、元々各個人が黙々と研究に集中できる環境が整っている。でも小夜莉はそれに輪をかけるように人と関わらず、日々研究にだけ没頭して過ごしてきた。顔の半分を覆うほどの分厚いレンズのメガネや、にこりとも笑わない性格も相まって、いつからか小夜莉は能面女史などとからかわれるようになっていたのだ。
小夜莉は軽く身震いをすると、足早に自分のデスクがある第一研究室へと急いだ。
『職員を早くに帰らせる日って、こっそりお祓いとかしてるんだって』
真っ暗な廊下を進みながら、小夜莉は後輩達が面白おかしく笑っていた話を思い出す。
『お祓い⁉ なにそれ、ここって呪われてるの⁉』
『そういう噂! だってさぁ、おかしくない? 退職者は多いし、主任になると必ず病んじゃうし』
『うわ、怖っ! 悪霊でもいるってこと⁉』
『噂だよ噂! でもさぁ、今の主任って……』
きゃあきゃあと話していた後輩たちの声が急にひそひそ声になる。
『神崎さんだから大丈夫じゃない?』
『だよね。あの能面女史が相手じゃあ、悪霊も退散って感じだよね』
明らかにバカにするように、ぷっと吹き出す後輩の声を思い出していた小夜莉は、ふるふると大きく首を振ると、能面と呼ばれる所以の黒縁のメガネを押し上げる。
この研究所は、元々各個人が黙々と研究に集中できる環境が整っている。でも小夜莉はそれに輪をかけるように人と関わらず、日々研究にだけ没頭して過ごしてきた。顔の半分を覆うほどの分厚いレンズのメガネや、にこりとも笑わない性格も相まって、いつからか小夜莉は能面女史などとからかわれるようになっていたのだ。