御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
 厳かなパイプオルガンの音が響き出す。耳に馴染みのあるウエディング曲に合わせながら、小夜莉は母に手を引かれバージンロードを歩いた。
 小夜莉を迎える人々の拍手は鳴りやまず、その美しさに誰もがため息をつく。でもその視線の先に立つ雅人の姿は、小夜莉ですら気後れするほど圧倒的なオーラを纏っていた。

「幸せにね」

 母の温かい声に後押しされながら、小夜莉は前へ進むと、雅人の手を取った。
 一斉にフラッシュがたかれ、一段と大きくなる拍手の中、小夜莉は雅人と共に神父の前に立つ。讃美歌が流れ神父が祈りを捧げた。あまりに圧倒された空間に、今にも倒れそうになりながら小夜莉は雅人に合わせるように聖書に左手をのせる。

 その時、わずかに雅人の指先が小夜莉の指に触れた。はっと息を呑んで見上げた目線の先で、雅人と視線が合わさる。緊張で今にも倒れそうになる小夜莉を安心させようとしたのか、雅人がわずかにほほ笑んだ。

「それでは誓いのキスを」

 神父の穏やかな声がチャペルに響き渡った。
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