御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
 お似合いのふたりの姿に、スタッフたちがため息を漏らしながら部屋を出て行った。

「あの、いかがでしょうか?」

 小夜莉は恥じらいながら声を出す。
 でもうつむいたまましばらく待つが、雅人からは一向に声が聞こえない。不思議に思って小夜莉が顔を上げると、雅人は頬をピンクに染めて、困ったような顔つきをして立っていた。

「雅人さん?」

 小夜莉が戸惑いながら声を出すと、隣で司がニヤニヤと口元を緩ませている。もう一度小夜莉が「雅人さん?」と呼びかけると、ようやく雅人が「その……」と口を開いた。

「今日のパーティーは、やっぱりやめた方がいいかも知れない」
「え?」
「なんというか、小夜莉の姿が……」
「私の姿? そ、そんなに酷いですか?」

 雅人の言葉に小夜莉は思わず声を上げる。パーティーに出られないほどの出来だとは思わず、ショックが隠し切れない。すると眉尻を下げる小夜莉の耳に、司の大きな笑い声が響いた。

「違う違う、小夜莉ちゃん。まったく逆なの」
「え? 逆?」
「雅人はねぇ、小夜莉ちゃんが可愛すぎるから、今すぐ連れて帰りたくなっちゃったらしいよ」

 司はそういうと、つんつんと肘で隣の雅人の腕をつついている。

「今すぐ連れて……?」

 小夜莉は首を傾げながらそこまで言ったあと、はっと急に全身を熱くしながら雅人の顔を見上げた。つまり雅人は、小夜莉の着飾った姿を良いと思ってくれたのだろう。
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