御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
(あぁ……また、やっちゃった……)
小夜莉の瞳にじんわりと涙が滲む。
もうきっと大丈夫だと思っていても、やはり過去のトラウマはこういう時に顔を出す。何度同じ失敗を繰り返せば、自分は普通に過ごせるようになるのだろうか。
しばらく落ち込んだように俯いていた小夜莉だが、はっと我に返ると慌てて深々と頭を下げた。
「も、申し訳ありません」
咄嗟の行動とは言え、これから自社の社長となるひとに大変なことをしてしまった。
御曹司の機嫌を損ねれば、小夜莉のクビなどいとも簡単に切ることができるだろう。
(社長に、なにか説明しないと……)
小夜莉がそう思った時、バタンと大きな音を立てて入り口の扉が開く。
「雅人! さっき守衛から連絡があって、職員がひとり、忘れ物を取りに戻ったって連絡が……」
顔を上げると、飛び込んできたのは雅人と同じくらいの年齢の男性だ。男性は室内に駆け入ると、口を閉ざして向かい会う小夜莉と雅人を交互に見る。
「あれ? 職員って……」
不思議そうに首を傾げる男性に、雅人が軽く手を上げた。
「あぁ、大丈夫だ。彼女はここの研究員だ」
雅人は何事もなかったかのように落ち着いた声でそう言うと、ジャケットの袖に腕を通す。
そして近くの机の上に置いてあったものを取り上げて小夜莉に差し出した。
「忘れ物というのはこれのことか?」
見ると雅人の手には小夜莉のスマートフォンと大きな黒縁のメガネが乗っている。
きっと暗闇で腕を掴まれパニックになった時に、どちらも落としてしまったのだろう。
小夜莉の瞳にじんわりと涙が滲む。
もうきっと大丈夫だと思っていても、やはり過去のトラウマはこういう時に顔を出す。何度同じ失敗を繰り返せば、自分は普通に過ごせるようになるのだろうか。
しばらく落ち込んだように俯いていた小夜莉だが、はっと我に返ると慌てて深々と頭を下げた。
「も、申し訳ありません」
咄嗟の行動とは言え、これから自社の社長となるひとに大変なことをしてしまった。
御曹司の機嫌を損ねれば、小夜莉のクビなどいとも簡単に切ることができるだろう。
(社長に、なにか説明しないと……)
小夜莉がそう思った時、バタンと大きな音を立てて入り口の扉が開く。
「雅人! さっき守衛から連絡があって、職員がひとり、忘れ物を取りに戻ったって連絡が……」
顔を上げると、飛び込んできたのは雅人と同じくらいの年齢の男性だ。男性は室内に駆け入ると、口を閉ざして向かい会う小夜莉と雅人を交互に見る。
「あれ? 職員って……」
不思議そうに首を傾げる男性に、雅人が軽く手を上げた。
「あぁ、大丈夫だ。彼女はここの研究員だ」
雅人は何事もなかったかのように落ち着いた声でそう言うと、ジャケットの袖に腕を通す。
そして近くの机の上に置いてあったものを取り上げて小夜莉に差し出した。
「忘れ物というのはこれのことか?」
見ると雅人の手には小夜莉のスマートフォンと大きな黒縁のメガネが乗っている。
きっと暗闇で腕を掴まれパニックになった時に、どちらも落としてしまったのだろう。