御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「雅人さんと私が結婚すれば、すべてのことがうまくいくはずだった。いずれ御子柴グループはNKRがとって代わる予定だったのに……とんだ邪魔が入ったものだわ」
「あなた自分が何を言っているか、わかってるんですか? あなたたちがしたことは犯罪です」

 するとふるふると怒りで震える小夜莉にふんと鼻先を向けると、美幸がいやらしく目を細める。

「小夜莉さん、あなたのことを少し調べさせていただきましたわ。このGPSを使ってね」
「GPS?」

 小夜莉が美幸の手元を見ると、スマートフォンには地図が表示されている。そこは雅人のマンションを指し示していた。小夜莉はドキッとして顔を上げる。

「その顔を見ると、やはりお気づきにならなかったようね。あの媚薬は、お役に立たなかったのかしら?」
「媚薬⁉」
「えぇ、そうよ。香水瓶に仕込んだGPSであなたと雅人さんのマンションを特定しましたの」

 小夜莉ははっと息を呑む。媚薬と言われて渡されたあの香水に、まさかGPSを仕込まれていたなんて考えもしなかった。

(なんて怖いことを考えるの……)

 小夜莉は悪寒を感じてきゅっと自分の体を両手で抱きかかえる。そんな小夜莉に、美幸は楽しそうに口元を引き上げた。

「それにしても、うまく騙されましたわ。張り込みをしたうちの社員もしばらくは見つけられなかったんですの。だってまさか御子柴グループの奥様が、普段はこんなメガネをかけた研究員だったなんて、誰か気がつくでしょう?」
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