傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 友人と遊ぶときは外へ出かけに行くし、わざわざこの部屋に呼ぶこともない。
 兄以外の人間だと、片瀬さんが初めてこの部屋に訪れた人だ。

 彼は、それなら安心したと言ってお茶を飲んだ。

「今日は本当にご馳走様でした。たくさんおもてなししてもらって」
「いえ、昨日のことに比べたら全然。それに、もしまた食べたくなったら声を掛けてください。いつでも振る舞いますので……」
「本当に……? 水嶋さん、料理上手だから嬉しいな。俺、料理が壊滅的に下手だから、いつもスーパーか外で済ませてしまうので」

 だから飽きてしまうときがある、と彼が零す。
 どうせ一人前も二人前も作る手間は変わらないのだ。いつでも振る舞うと伝えたら、彼が笑った。

「そしたらもう、水嶋さんのご飯しか食べれなくなるかも」
「ふふ、そんなことはないですよ」

 お世辞を言う彼に、わかっていても照れてしまう。
 そうして食後のお茶を飲み切ったところで、彼がスマホで時間を確認した。

「もうこんな時間か……。では、ご飯もいただいたのでそろそろ……」
「はい。では、また」

 椅子から立ち上がり玄関へ向かう彼を見送る。

 今日はありがとうございましたと丁寧に頭を下げる彼に手を振ると、私はテーブルの上を拭こうとした――のだが。

「これ……お財布……?」
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