傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 俺の地元は名古屋だから、東京で親しくしている友人はいない。
 それに、家族とはわけあって疎遠気味だ。だから、人恋しかったのだろう。
 職場の外で話せる人ができたことを嬉しく思っていた。

 というのも、どうしてもオンの状態が続くと無理がきてしまう。

 皆、職場では完璧な片瀬透を求める。俺もその期待に応えて、昔から完璧な自分を演じていた。

 もちろん仕事は楽しかったし、先輩に扱かれるのも嫌ではなかった。
 営業は数字が目に見えてわかる仕事だ。
 どんなに厳しく指導されても結果が反映され、昇進していく。お金よりも結果がついて来ることのほうが楽しく、若い頃は仕事に打ち込んだ。

 だけど、その反動でオフになると電池が抜けたかのようにいろんなことが杜撰になる。
 そんな俺を見て、当時結婚間近だった彼女からフラれた。

『平日は仕事ばっかり。休日も呼び出されたら仕事に行くし。それに、仕事以外だといろんなことに対してズボラだよね。私は完璧な透が好きなのに』

 結婚という現実が見えてきたときに、俺のどこか抜けてる性格が気に入らなくなったのだろう。
 よく周りからも、『透は普段しっかりしてるけど、ときどき怖くなるくらい抜けてるときがある』と言われるくらいなので、自分の抜けっぷりには自覚があった。
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