傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「あ、そうだ。帰ってきたら、一緒に飲みませんか?」
「一緒に……?」
「この前、思いのほか楽しかったので」

 そんなふうに男性から言われたのは初めてで、どきりとしてしまう。
 彼といると初めてもらう言葉ばかりで、そのたびに胸がじんわりと温かくなった。

「そしたらまた料理作りますね。お酒のアテに良さそうなものを」
「本当ですか……? 嬉しいです」

 ほどなくして車がファミレスの駐車場で止まる。

 改めて思い返してみると、男性と二人で食事に行くのも初めてだ。
 席についてメニューを選ぶ何気ない時間でも、すこし緊張してしまう。恐怖から来るものではなく、純粋に気恥ずかしさからくるものだった。

「水嶋さん、決まりましたか?」

 メニューから顔を上げれば、同じようにメニューを覗き込んでいた彼と目が合う。にっこりと微笑まれて、さっきよりも心臓の動きが早くなった気がした。

(なんで、私……)

 こんなにも緊張してしまうのだろう。

 男性と相対しているときにこんな感情になったことがなく、私はメニューを見るフリをして俯いた。

「えっと、まだ迷ってて……」
「なにと迷ってるんです?」
「パスタにするか、ピザにするかで……」
「だったらどっちもにしましょうか。シェアすれば食べ切れますよ」
< 124 / 172 >

この作品をシェア

pagetop