傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「俺はお前が心配だよ。あんな胡散臭そうな男……。なぁ、俺がお前と付き合って守ってやるから、もしアイツと本当に付き合ってるっていうならさっさと別れろよ」
「……べ、別に片瀬さんとは、なにも……」
「へぇ、アイツ、片瀬っていうんだ。で、付き合ってないってことなら今から俺と付き合え。絶対悪いようにはしないから」

 強引に迫られて、顔を近付けられて。
 怖くて涙が出そうなのに、体が固まって動かない。
 そのまま近付いてくる剛人に身を固くして俯いていたら、私たちの間を遮るように誰かの腕が差し込まれた。

「彼女に触らないでください。言いましたよね、葉月さんは俺の彼女です」
「うわぁ! なんでお前がここにいるんだよ!」
「なんでと言われましても、ここが俺の家なので」
「だとしても邪魔なんだよ。これは葉月と俺の問題だから」
「いいえ。俺は彼女と付き合っています。だから俺たち三人の問題です」
「ハッ、嘘ばっかり。さっき、葉月から聞いたぞ。付き合ってないって」
「そうですか。ということは、まだなだけです」

 そう言って彼が私から剛人を引き剥がし、肩を抱き寄せてくれる。
 剛人に触れられたときは怖かったのに、片瀬さんの腕の中は安心できた。

「俺は葉月さんのことが好きなので、こんなふうに乱暴されるのを見てられません。早く、お引き取りを」
「はぁ!? ふざけんなよ。付き合ってねぇなら、お前に関係ないだろ!!」

 静かな廊下に剛人の声が響き渡る。その声で住人たちも異変に気付いたのだろう。
 何事かと何軒かの扉が開いて、私たちの様子を窺うように顔を廊下に出していた。
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