傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「そういえば新規案件の話、水嶋さんのリーダーから聞いた?」
「はい、セレクトショップの件ですよね」
「うん。またよろしくね」

 そこでふと、彼なら井上さんの表情が暗い件も知っているのでは……と思い至る。
 同じ飲み会の席にいたし、急な担当変更もあったのだ。リーダーから何かしら知らされているのでは……と思い、尋ねてみることにした。

「そういえば井上さんの件なんですが……。今日は朝から表情が暗くて。何か知っていますか?」
「あれ、リーダーから聞いてない?」
「なにも……。井上さんから私に案件担当が変わるという話しか……」
「そうなんだ……。これから話すことはまだ内示段階だから伏せたままでいてほしいんだけど、彼女、別部署へ異動するそうだよ」
「えっ、本当に……!?」
「うん」

 度重なる不祥事や勤務態度の件で上長からいろいろと苦言を呈されたらしい。企画部は時間に追われることも多いし、発注関係の処理もあるから、ミスが多い人には任せていられない。
 そうした理由もあり、彼女は別部署へ異動することが決まったそうだ。

(だから、あんなに落ち込んでたんだ……)

「もしかしたら、先週末の飲みの席でちらっと言われたのかもしれない」
「そう、なんですね……」

 彼女の振る舞いは目に余るものがあったし、実際に仕事では手を焼くことも多かった。それは私だけでなく、リーダーや他の営業さんも同じだったのだろう。
 仕方ないとはいえ、酌量の余地はなかった。
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