傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
◇
四人での食事は、メッセージを返してから二週間後の土曜日になった。
老舗のホテルでしっかり着飾ってランチ……といったかしこまったものではなく、あくまで近居を報告したり、交流を深めたりするためのランチだ。
だけど、少しは背伸びしていいところへ……と考えた兄は、そこそこいいホテルのレストランを選んだらしい。といってもランチの時間帯はリーズナブルな価格設定で、ドレスコードもそこまでかっちりとしていない。
ラフすぎる格好でなければ問題ないとのことで、私は水色のワンピースを身に着けていた。
「葉月、変じゃないかな?」
「大丈夫かな……? あっ」
彼もスーツまではいかないけれどネイビーの薄手のジャケットを羽織っている。
暑いからすぐに脱ぐだろうけれど、一応最初だけは着ていきたいとのことで、この前のデートで新たに購入したものだ。だけど……。
「後ろの襟、裏返ってる……」
「……あぁ! 本当だ……」
相変わらず最後の最後で小さな抜けがある彼にふふ、っと笑みを零す。
彼は完璧に整えたはずなのに……と悔しそうだった。
「私はそういうちょっと可愛いところ、好きだけど」
「可愛いのは、葉月のほうだよ」
お互いにどちらが可愛かを競い合って、私たちは約束の場所になってるいるホテルへ向かう。
ホテルのエントランスに入ると、既に兄とその彼女が待っていた。