傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 私、水嶋葉月は男性が苦手だ。
 特に、初めましての男性には身構えてしまう。

 たとえばスーパーの店員さんだとか、お医者さんだとか、そういう生きていく上でどうしても避けて通れない場合はまだ落ち着いていられる。仕方ないと割り切れるからだ。

 だけど、そうではない男性から急に話しかけられると、つい警戒してしまう。

 一体、何を言われるんだろう。
 何をされるんだろう。

 そんなことを考えてしまって、身がすくむのだ。



 私には二つ歳上の兄がいる。
 昔から兄である伊月(いづき)とは仲がよく、小さい頃の私はいま以上に兄にべったりだった。

 普通、異性の兄妹なら互いに放っておきそうなものなのに、私たち兄妹はとても仲がよかった。兄は私のことをよく可愛がってくれていて、物心がつく前に他界した父親の代わりになってくれた。

 だから今でも兄のことは尊敬していて、お互いに成人した今でも心理的な距離が近い。

 だけど、そんな兄の傍にはいつも友人である相川剛人(あいかわたかと)がいた。

『お前、いっつも伊月にべったりじゃん。いい加減、兄離れしろよ』
『マジで邪魔。どっか行って』
『寂しいなら、俺が遊んでやろうか?』
『ほんと、どんくさいやつ。俺が面倒見てやらないと、なーんにもできないんだから』
『お前、可愛くないんだし、もっと愛想よくしたら? まぁ、売れ残ったら、俺が貰ってやるけど』
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