傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 剛人は、口を開けば失礼なことばかり言う人だった。

 早く兄から離れろ、可愛くない、どんくさい奴、と罵られて、いじめられて。
 嫌だと言って逃げても服を引っ張られたり、腕を掴まれたり。

 幼い頃、剛人からたくさん虐められたことがきっかけで、気付いたときには男性が苦手になっていた。

 そのため、もう二十八歳だというのに、いまだに男性とお付き合いしたことがない。
 グイグイ来られると怖いし、好意を寄せられると不安になって逃げてしまう。

(さっきの、あんまり印象よくなかっただろうなぁ……)

 話しかけられたというのに、まともに受け答えするどころか、目すら合わせないなんて。
 挙句に、近づくなと言わんばかりに乱暴に扉を閉めて。

 自分でもこのままではいけないとわかっている。
 だけど、自分ではどうすることもできないため、最近では恋すら諦め気味だ。

 周りは結婚に向けて頑張っているというのに、私は仕事漬けの日々。
 最近では、おひとり様でいる覚悟まで決めてマンションの購入を考えている。
 ペット可の物件で、可愛い犬や猫に囲まれながら生活する未来も悪くないかも――と想像するのだ。

 だけど、そんな未来を想像するたびに兄の顔がちらつく。
< 4 / 172 >

この作品をシェア

pagetop