傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 手を振って部屋の奥へ引っ込んでいく彼に手を振って、私はもうしばらくだけベランダで夜風に当たる。

 今までよりも自然に話せている。
 手の震えも、声の震えも、気付けばなくなっている。

 このまま彼を実験体にして男性を克服するのは忍びないけれど、今のところ彼と一緒に過ごす時間がトラウマにきく特効薬だ。
 薄い板が私に染みついた呪いを和らげてくれるのか、不思議ともっと片瀬さんと話してみたいな、と思えるようになっていた。

「そろそろ私も夕飯の準備をしないと……」

 今からご飯を作っていたら、十時になってしまう。

 ガッツリしたものではなく簡単なものにしようと頭の中で献立を組み立てて、サンダルを脱ぎ捨てた。



< 30 / 172 >

この作品をシェア

pagetop