傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 大真面目に料理をして鍋底を焦がし、微妙な味になったカレーを口に運んでいる片瀬さんを想像して自然と口角が上がる。
 カレーの話をしたからなのか、カレーに手を伸ばす彼に、私は「あっ」と声を上げた。

「もしカレーにするなら、お裾分けしましょうか……?」
「いいんですか……?」
「はい。いつも作りすぎてしまって。なかなか一人分を作るのって難しくて……」

 余ったらカレーうどんにでもしてリメイクする予定だったけれど、それでも余らせてしまって、三日三晩カレーになってしまうことがある。
 どうせ、一人でも二人でも作る分量は変わらないのだ。一食分なら問題ないですよ、と申し出たら、彼は嬉しそうに顔をほころばせた。

「それならお言葉に甘えて」

 そう言って、彼がカレーに伸ばしかけていた手を引っ込める。

 私は最後にサラダをカゴの中に入れると、セルフレジへ向かった。
 彼もトンカツとサラダだけは買うようで、後ろからついてくる。
 自分の番が回ってきたとき、彼はなぜか私からカゴを回収すると、さっさとセルフレジへ向かってしまった。

「ここは、俺に払わせてください」
「いえ、さすがにそれは……」
「ご馳走してもらうのに、何もしないわけにはいかないので」
< 36 / 172 >

この作品をシェア

pagetop