傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「ご、ごめんなさい……」
「いえ、大丈夫ですよ。もし、不快でなければこのままでも」

 普段の私ならば絶対に離れるはずなのに、不思議と嫌な気持ちはしない。
 それは彼の人となりを知っているからだろうか。それとも距離感に慣れてしまったからだろうか。
 嫌悪感よりも私を他から守るように立ってくれる彼の優しさに、胸のあたりがムズムズする。
 緊張……もあるけれど、それとはまた違った息のしづらさに私は唇を引き結んだ。

 それから会社の最寄り駅にたどり着くまでぎゅうぎゅうに押され、やっとの思いで電車を降りる。
 彼は何も言わなくても察して、先に行きますね、と言って、颯爽と会社へ向かってしまった。

「あっ……ワイシャツ、汚したままなのに……!」

 このまま彼を出社させるのはまずいと気付き、慌てて追いかける。
 だけど、彼の後ろ姿を見つけたときにはもう、彼の隣には別の女性が立っていた。

(隣を歩いているのは井上さんかな……?)

 よく見ると、彼の隣にいるのは後輩の井上さんだ。
 後ろからコソコソついていくのも悪い気がするけれど、向かう先は同じである。
 それにターミナル駅だから、たくさんの路線が入り組んでいて、改札を抜けたら他の部署に所属している社員さんもたくさん歩いている。
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