傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
気にして距離を取るのも不自然だと思い直して歩いていると、彼のワイシャツが汚れていることに気付いたのか、井上さんが胸元に顔を寄せているのが見えた。
「ワイシャツ、汚れてますよ?」
「あぁ、本当だ。朝の電車で誰かにつけられちゃったのかも」
「もしよろしければ、ティッシュをどうぞ」
「ありがとうございます」
井上さんから笑顔でティッシュを受け取る彼を見て、モヤモヤとしたものが胸に渦巻く。
あと少し追いつくのが早ければ、私が彼にティッシュを差し出せたのに――と、そんなことを思って、私は雑念を振り払うように歩みを速めた。
(私ったらなに変なことを考えてるの……)
なるべく、彼らに気付かれないよう他の通勤客に混じって地下通路を歩いていく。
私の会社は駅の地下通路と直結していて、雨の日でも濡れずに歩いていくことができる。
ただ、みんな同じ場所へ向かうため、朝は出社する前から会社の人と顔を合わせなければならず、それが難点だった。
だけどそのおかげで、今は私の存在も紛れる。
さっさと行ってしまおうと人混みに紛れて彼らを抜かすも、後ろから「水嶋さん」と声を掛けられた。
「ワイシャツ、汚れてますよ?」
「あぁ、本当だ。朝の電車で誰かにつけられちゃったのかも」
「もしよろしければ、ティッシュをどうぞ」
「ありがとうございます」
井上さんから笑顔でティッシュを受け取る彼を見て、モヤモヤとしたものが胸に渦巻く。
あと少し追いつくのが早ければ、私が彼にティッシュを差し出せたのに――と、そんなことを思って、私は雑念を振り払うように歩みを速めた。
(私ったらなに変なことを考えてるの……)
なるべく、彼らに気付かれないよう他の通勤客に混じって地下通路を歩いていく。
私の会社は駅の地下通路と直結していて、雨の日でも濡れずに歩いていくことができる。
ただ、みんな同じ場所へ向かうため、朝は出社する前から会社の人と顔を合わせなければならず、それが難点だった。
だけどそのおかげで、今は私の存在も紛れる。
さっさと行ってしまおうと人混みに紛れて彼らを抜かすも、後ろから「水嶋さん」と声を掛けられた。