傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「ごめんね。うちの佐久間が」
「いえ、そんなことを言ったら、元々発注処理をしていた井上さんが……という話になるので」
「お互い、手のかかる後輩をもっちゃいましたね」

 前を向いたまま困ったように笑う彼に、どうしてそこまで穏やかで居られるんだろうと不思議に思う。
 彼の穏やかでガツガツしていない性格を、好ましく思った。

「この分だと、あと一時間かな。でも、途中で渋滞するかもしれない」
「一応、先方としては今日中に持ってきてもらえれば、とのことでしたので、多少の遅れは大丈夫ですよ」
「そうかもしれないけど……。水嶋さんの帰宅時間が遅くなっちゃうし……」
「そんなこと、気にされてたんですか……?」
「うん。あんまり遅くまで水嶋さんを拘束したくないから」

 どこまでも優しい人だ。彼だって、後輩のとばっちりを受けた側なのに。

「私は大丈夫ですよ。むしろ、片瀬さんを巻き込んだことに申し訳なく思っているくらいなので……」
「そう? 俺はちょっと役得かもな、って思ってるけど」
「役得……?」
「こうして水嶋さんとちょっとしたドライブができたから」
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