傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「あっ、それならさっき兄が……ポストに入れたと……」

 スマホで時間を確認したとき、兄から彼の家のポストに鍵を入れたとメッセージアプリで教えてもらっていた。
 実際にポストに手を入れると、キーホルダーがついた鍵が指先に触れる。
 彼は気付かなかったな……と言って笑った。

「それじゃあ、また後ほど」
「……はい」

 彼の部屋を出て、すぐ隣の自分の部屋に戻る。

 家を出るまで、あと一時間しかない。私は急いで靴を脱ぎ捨てると、風呂場へ直行し、メイクを落としてシャワーを浴びた。

 いつもより時間をかける余裕もないので、髪を乾かすついでにセットまでして、着替えをし、また顔に化粧を施す。
 案外、急げばどうにでもなるもので、いつもと同じ時間に支度を終えることができた。

 最後に鏡で全身をチェックし、パンプスに足を滑らせる。

 ガチャッと扉を開いたら、廊下の少し先を歩く片瀬さんがいて、彼は振り返ると私に手を振ってくれた。

「タイミング、同じだね」
「ふふ、そうですね」

 たった一時間前に別れたばかりだというのに、もう顔を合わせているのがおかしくてつい笑ってしまう。
 彼も私につられたのか、クスクスと笑っていた。
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