傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
(朝から元気なんだから……)

 兄の喧しさに頭を押さえていると、またメッセージが飛んできた。

『剛人も気にしてるから』

 剛人という名前を見た瞬間、ひゅっと息が詰まって呼吸が乱れる。
 どうして剛人が私のことを気にするんだろうと思っていると、彼が画面を手で覆った。

「片瀬、さん……」
「いま一瞬、苦しそうな顔したから……。ごめんなさい、つい」

 パッと手が離れていくけれど、いまの一言で苦しかった息もだいぶしやすくなる。
 私はふるふると首を振ると、ありがとうございます、と彼に笑顔を見せた。

「名前が出るだけで固まっちゃうなんて駄目ですね……。私、全然克服できてないや……」
「そういうのはゆっくりでいいと思いますよ。……それと」

 彼の影が画面に落ちて、身を屈めた片瀬さんと目が合う。
 彼は真剣な表情で、私を見ていた。

「俺と恋人同士ってことで、返してもらって大丈夫ですよ」
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