傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 彼の言葉をすぐには飲み込めなくて、へっ、と間抜けな声を漏らしてしまう。
 彼は画面を指さすと、これのことです、と笑って見せた。

「いまさら違うと言うのも面倒なことになりそうですし」
「ですが……」
「もし、向こうがまた俺に会いたいと言うのであれば遠慮なく呼んでください。いつでも都合つけますので」

 何一つ理解が追いついていない私を置いて、彼がいつもと変わらない様子で歩いていく。
 私は一旦、なにも返事をしないでスマホを鞄に入れると、彼のあとを追いかけた。

(冗談……だよね)

 もし本心でそう言っているのだとしたら、お人好しにもほどがある。
 そもそも私は彼のプライベートを知らない。
 もし、彼女と呼べる存在がいたとしたら、怒られてしまうんじゃ……。

「水嶋さん、引っ掛かってますよ」
「あっ……」

 ぼんやりと歩きすぎて、改札でなにもタッチしないまま立ち止まってしまう。 
 私はカードをタッチすると、慌てて彼のあとを追いかけていき、いつものように電車に乗り込んだ。



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