傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 一応、言っておくと、睨んでいるつもりはない。
 ただ、近付かれると過度に距離を取ろうとしたり、物の受け渡しをする際に震えたりしてしまうだけで……。
 目つきが鋭いと思われてしまうのも、怯えているからなのだけれど、ほとんどの男性社員には伝わっていなかった。

「あの、資料をちょっと修正してほしくて……。あと、できれば追加で前年度との比較資料も……」
「わかりました。対応します」

 いつもならそんなことをしないのに、自然と御田さんが持つ資料に手が伸びる。
 これには私も御田さんもびっくりして、一瞬目が合った。

「あ、じゃあ、よろしく……」

 御田さんから資料を受け取る。
 受け取る瞬間、指先に力が入ってしまうのは変わらないけれど、直接資料を受け取れたのは大きな一歩だった。

 昨夜、トラウマを植え付けた相手との最悪な邂逅を果たしたというのに、いつもより気持ちが凪いでいるのは、この苦しさを彼に吐き出せたからだろうか。
 少しだけこの呪いが解けているような気がして嬉しくなる。

 そうして受け取った資料に目を通していると、片瀬さんが私の席にやってきた。
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