傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
「お疲れ様です、水嶋さん。この前の病院の案件の件で、作ってほしい資料があって……」
「はい、なんでしょうか?」
「少し、時間もらってもいい?」

 打ち合わせをしたいということなのだろう。
 彼がフロアの端にある会議室に視線を向けたけれど、私が過去に拒否したことを思い出したのか、近くの椅子を引っ張ってこようとする。

 だけど生憎席は埋まっており、フロアの中央にある会議用のフリースペースも埋まっていた。
 ちなみにフリースペースは短時間の相談や、休憩時間中の雑談スペースとして使われる場所である。
 長く会話をする場合は、周りの邪魔にならないよう会議室で打ち合わせをする決まりになっていた。

「……時間、ずらしましょうか」
「いえ、大丈夫……です。次のアポイントまで日もないですし」
「わかった。じゃあ、会議室でもいい?」

 必要な物をまとめて席を立つ私を、井上さんが恐ろしい形相で睨む。
 周りも、私が男性と共に会議室へ向かうのが珍しいようで、いつもは感じない視線を感じた。
 なんとなく居心地が悪くなり、彼から距離を取る。

 片瀬さんと共に会議室まで移動すると、電気をつけて扉を閉めた。
< 96 / 172 >

この作品をシェア

pagetop