傷付いた心を癒すのは 〜男性が苦手な私の心を癒してくれたのはお隣さんでした〜
 私たちのような仲介の卸業者はメーカーにとってはお客様だ。そのため、私たちにメーカーの商品を知ってもらうため、またお客様に対してスムーズに案内できるようにと試食品を渡されることがある。
 もちろん、それらをすべて口にすることはできないため、余剰分は倉庫に置いておく。
 実際、営業部はメーカーに呼ばれて試食会へ行くこともあるそうで、そこでよいと思った商品をお客様へ勧めることもあった。
 私は企画部のため、そういった催しには呼ばれず、せいぜい関わっている案件で賞味期限が切れそうな商品があった場合に持っていかないかと言われる程度だ。
 それすらも滅多にないことで、大体は倉庫担当者か営業部で持って行ってしまうんだけれど。

「ありがとう。助かるよ。それでアポの日ですが、水嶋さんも来る……想定で大丈夫ですか?」
「……はい」
「よかった。先方から、水嶋さんもかなり気に入られていたから」

 普段は断るが、一度大きなトラブルを起こした手前、ここで早急に離脱するのも心象がよくないだろう。
 それに、彼となら移動も苦じゃない。
 実際、女性の営業さんとは一緒に客先まで出向くこともある。
 ただ、私が男性と同じ空間になるのが嫌で、車移動が難しいだけで、それさえ克服してしまえば客先へ出るのも苦ではなかった。
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