道しるべみたいな恋だった
「うーん、まだなんだよね」

「えー、分かります。私も全然思い浮かばなくて……!」

嘘つけ、昨日ノリノリで過去の浮気された話で盛り上がっていたくせに。
 
そんな私の考えはどうやら間違っていたようで、笹野さんは少しだけ視線を落として……いつもより小さな声であることを打ち明けた。

「昨日、前に彼氏に浮気されて、電話だったから証拠も取れなくて……って、話したじゃないですか。あの彼氏、実は割と好きだったんですよね。それなのに、浮気されて『ああ、人って案外簡単に裏切るんだな』ってあの時期人間不信みたいになっちゃって。まぁ、相手が最低野郎だったなだけなんですけど」

まるで自分を嘲笑するように「あはは」と乾いた笑いをした笹野さんは、昨日とはまるで別人に見えた。

落とした視線によってよく見えた長いまつ毛はしっかりとカールしていて、マスカラもしっかりと塗られている。

努力なしでは絶対に出来ないほど、メイクだって完成されていた。
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