夜明けみたいな恋だった
しかし、高校生の私は少なくとも、『行かない』とは言わない。
まあ、素直に『誘ってくれてうれしい! 絶対行く‼︎』と言うことも、決してできないのだけれど。
長年染みついた習慣というか癖というか、そういうものを修正するのは、なかなかに難しいものなのだ。
「なら、一緒に遊び行こ?」
「別にいいけど」
それでも、参加表明はできたのだから上出来だということにしておこう。
「人数けっこう集まったね」
「どこ行く?」
「ボウリングは? でも、いくつかのレーンに分かれることになるから親睦会って感じじゃないかあ」
「だったら、カラオケは?」
「大部屋予約すれば全員入れるし、いいんじゃない?」
一気に話がカラオケでまとまりそうになり、うれしかったはずの私の気持ちは急速に萎れていく。
なぜなら、私はカラオケが苦手だから。
みんなが歌うのを聴いているだけでいいのに、『愛莉、歌ってなくない?』とリモコンを回してくれて……
そうして、たいして上手くもない私の歌に手拍子やら拍手やらしてくれて……
『すごくよかったよー』なんてお世辞までもらってしまった日には、どう返答すればいいのかも分からない。
気遣いのオン・パレードで、受け取り下手人間にとっては、もはや苦行とまで呼べる域なのだ。
想像しただけでも気が重い。