夜明けみたいな恋だった

「愛莉はカラオケ、どう思う?」

 さすが友梨奈。
 さっきから黙っている私のことまで気にかけて、優しい微笑みを向けてくれた。
 でも、その気遣いすらも、この状況では受け取れない。

「でも、私上手くなくて……」

 とうとうネガティブな言葉を発してしまった。

(あーあ。こんな発言しちゃったら、みんなは『大丈夫だよー』とかって言ってくれるんだろうな……)

 その慰めは追い打ちでしかない。
 もうドツボにハマっていく未来しか見えない気がした。

 ところが、聞こえてきたのは意外な言葉だった。

「マジで⁉︎」

 笑顔で訊いてきたのは、まだほとんど話したことのない男子だった。

(名前は確か、小橋 流星くん……)

「俺も俺も」
「そう……なんだ……?」
「なあ、どっちが下手か採点で勝負しない?」
「何その勝負。えっ、それってまさか点数が低いほうが勝ちになるの?」
「もちろん」
「やだー! そんな勝負、勝ってもうれしくないよ」

 私は噴き出してしまった。

「じゃあ、負けたほうは勝ったほうに購買でアイスを奢るってことにしよう」
「それならオッケー」

 行き先は満場一致でカラオケに決定した──

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