クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。
嵐の後の静けさのように、シーンとなる私と暁。
(いま、暁、私の事彼女っていったよね?!)
「おい」
(やばいやばいやばい!やばいんだけど…!!)
「…もも?」
(心臓うるさすぎる!もう暁の顔みれない!!)
「おーい、もも」
(でもあの人達を撒くために言ったんだろうし、深い意味なんてないだろうし…!)
「完全にどっか行ってんな…」
(わーー!ちょっと悲しんでるの何なの!私最近本当に変だよ!!)
「戻ってこーい」
むにっ
頭の中で大パニックを起こしていた私は、急に右のほっぺを摘まれ、一気に現実世界へ引き戻された。
「ねぇ、いつまで固まってんの?」
「……いひゃい」
暁の顔を見れば、不思議そうにこちらを見てる。
でも私は、目線を合わせていられなくて、直ぐに視線を泳がせた。
ドキドキ、心臓がうるさいし
私の顔、今絶対赤いもん。
暁にそれがバレたくなくて、頬を摘まれた手を両手で引き剥がし、顔を隠すように頬を自分の手で包み込む。
頬はやっぱり少し熱をもっていた。
暁は不思議そうにしながらも、私から離れて、またかき氷機の前に戻っていった。
お客さんは今いないけど、仕事中なんだからしっかりしなきゃ!と、私も頬をパンパンと叩いて気合いを入れ直した。
「お前はすーぐ絡まれるな」
そして少し呆れた様に、暁が口を開いた。
「その隙だらけな所、どうにかしたら?」
「…隙とか作った覚えないし」
「警戒しろって言ってんの。誰にでもにこにこすんなって」
「暁だってみんなににこにこしてんじゃん」
「俺はちゃんと考えて行動してるわ」
「私もしてるし」
「じゃあなんであーいう奴らにも愛想ふりまくわけ?」
「愛想って…、接客じゃん!」
「向こうのあの態度みて、まともに接客してんのアホすぎんだろ」
さっきまでのドキドキはどこへやら…
いつの間にか、私と暁は言い合いになってしまっていた。
普段は基本優しいけど、私が何かやらかすと、こうやってガチめに叱ってくる。
今も結構本気で言われてる。
暁の声色からそれが伝わってきた。
さっきまで『彼女』って言われてドキドキしていたはずなのに。
暁に叱られて、私は少し落ち込んでしまっていた。