クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。
「よし、そろそろ休憩してこい。あとは俺らでやるから」
「ほんと!? やったー!」

暁パパのありがたい言葉に甘え、私たちは屋台の裏手にある、少し離れた石段を1番上まで登って、腰を下ろした。

手には、特大のブルーハワイとイチゴのかき氷。

「はぁぁ、生き返るぅ……」

暑さの中での労働で、私も暁もクタクタだった。
かき氷の冷んやりしたシロップの甘さが、疲れた体に沁みわたる。

「暁ー、お疲れ様〜」

「俺、今日でかき氷作るの極めたわ」

「たくさん作ったもんね〜」

笑い合いながら冷たい氷を頬張っていると、ヒュルルル……という音と共に、夜空に大きな花火が打ち上がった。


ドンッ!!


お腹に響くような重低音。
色鮮やかな光が、夏の夜空を埋め尽くす。

「うわぁ、綺麗……!」

花火に見とれていた私は、ふと隣の暁に視線を移した。

赤、青、緑。様々な光が、暁の横顔を照らし出す。
花火を見上げるその瞳は、いつもの「幼なじみ」のそれではなく、なんだかとても遠くて、手の届かない大人の男の人のように見えた。

「ん? なに?」

視線に気づいたのか、暁がこちらを向く。

「っ、な、なんでもない!」

慌てて顔を背けようとした瞬間、暁の大きな手が私の顔に伸びてきた。

「……口の端、赤いシロップついてる。」

親指で、私の唇の端を軽く拭われる。
少しだけ荒れた指先の感触と、至近距離で見つめてくる暁の真っ直ぐな目。


ドクン、ドクン、ドクン。


心臓の音が、打ち上がる花火の音よりもうるさく耳の奥で鳴り響いた。

(あ、だめだ。私、暁のこと……)

ただの幼馴染じゃない。
この感情は、間違いなく「恋」だ。

花火の光の下で、私はついに自分の気持ちをはっきりと自覚してしまった。
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