クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。
「は……? いまレイナのダンスブレイクのシーンだよ!見えない!どいてよ!!」
「レイナがどうとか知らないし、アイドルのMVなんかどうでもいいから!今は俺を見てよ」
その言葉に私の中でプチっと何かが切れる音がした。
私が大好きでたまらないアイドルを必死にプレゼンしていたのに、それを「どうでもいい」と言われた。
押し倒された恐怖なんかよりも、怒りの方が込み上げてくる。
「どうでもよくないの!!離れてっ!!!」
怒りをぶつけるように力いっぱいに大輝くんを押しやり、起き上がろうとするけど、全く歯がたたない。
大輝くんはそんな私の様子をみて、ニヤニヤと笑いながら顔を近づけてくる。
そのまま首元に顔を埋められ、耳たぶから首筋へと唇を這わせてきた。
「やっ…めてっ、!」
「怒った?ももちゃん、可愛いね」
いつも「可愛い」と言われて、満更でもなく喜んでいたのを後悔するくらい、気持ち悪くて堪らなかった。
さっきまでの怒りも消えさり、いまは大輝くんへの恐怖心が膨らんでいく。
大輝くんはどんどんエスカレートしていき、ついには制服のボタンを外し始めた。
(私バカじゃん…っ、あんなに皆から忠告されたのに)
ふと、暁の顔が浮かんでくる。
あの時ちゃんと暁の言う事を聞いていればよかったのかな。
当て付けなんて馬鹿な事をしたから、これはそんな私への罰なのかもしれない…
「うぅ……あきぃ……っ」
自分じゃどうしようもないこの状況に涙がでてくる。そして助けを求めるように、思わず出てきてしまった名前。
それを聞いてか、大輝くんの動きがとまった。
「…なに別の男の名前呼んでんの」
さっきまでのニヤニヤしていた表情とは一変し、不機嫌な様子で私を睨みつけてきた。
「……んっっ!!」
片手でグッと両頬を持ち上げられ、乱暴に唇を奪われた。
力強く顔を押さえつけられて、逃げる事もできない。
息継ぎをしようと、開いた所にぬるっと気持ち悪い感触が入ってきた。
恐怖と気持ち悪さで、頭がクラクラしてくる。
(本当にやばい!どうにか逃げなきゃ…!!)
必死に抗いながら、手に持っていたマイクの存在を思い出す。
(こうなったら…)
持っていたマイクを大きく振りかぶり、大輝くんの頬に力いっぱいぶつけた。
ゴンッッ!!!
「痛った!!」
大きな鈍い音と共に、やっと大輝くんが離れた。
その隙をみて力いっぱい大輝くんを突き飛ばし、起き上がって自分の荷物を持ち、部屋から飛び出した。