クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。
店を出ると、辺りはもう薄暗くなっていた。
その中を一心不乱に走った。
思いっきり殴ったし、怒って追いかけられてるかもしれない。


怖かった。気持ち悪かった。
私の好きな物をあんなふうに言われて悔しかった。

大輝くんは私の事なんて興味はなくて、ただやりたかっただけだったんだ。

色んな感情で、涙が止まらない。



「私のバカ……っ」

みんなに言われた通りになった。
でも、暁への当てつけで付き合うと決めた私には、文句を言える資格はなかった。

こうなったのは全部、自業自得なのだ。



家の近くの街灯の下まで走ってきた時、ふと前方から見慣れたシルエットが歩いてくるのが見えた。

スウェット姿で、コンビニのレジ袋を提げた暁だった。

「もも……?」

涙でボロボロの顔をして、制服のボタンも外れて乱れた格好をしている私の姿をみて、暁の顔からスッと血の気が引くのが分かった。


バサッ!


暁は持っていたレジ袋を地面に落とし、大慌てで私に駆け寄ってきた。

「どうした!? 何があった!?その格好……!」
「………あきぃっ……! ………うぅ~っ」

暁の顔が見えた瞬間、私はたまらず暁の胸に飛び込んだ。

暁は一瞬戸惑ったようだったが、すぐにその大きな両腕で私の背中を強く、壊れ物を扱うようにギュッと抱きしめてくれた。


「……もう大丈夫だから。」

低くて震える声が耳元に響く。

私の頭をポンポンと、何度も何度も優しく撫でる大きく骨ばった手。
その温かさと匂いに包まれながら、私は暁の胸の中で泣き続けた。


(このまま、時間が止まればいいのに――)


そんなズルい事を秘かに思いながら、強烈な安心感の中で、私の心はこれ以上ないくらいに彼に惹かれてしまっていた。
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