クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。
それからしばらくして部屋に戻ってきた暁と、ゴロゴロしながら漫画を読んで過ごしていると、



バタバタバタッ!!



「ももちゃん! みてこれ!!」

階段を駆け上がる激しい足音と共に、暁の部屋のドアが勢いよく開いた。
飛び込んできたのは、興奮度マックスの暁ママ。

手には、スマホが握りしめられている。

「MISSAの事務所がね、新人オーディションするんだって! 暁を応募しよ!!」
「えええーー!! MISSAの事務所が!?最高じゃん!!」

飛び起きた私は、暁ママと一緒にスマホを覗き込んで大はしゃぎだ。

『MISSA』は私が大好きな女性アイドルグループ。そのMISSAが所属している超大手の芸能事務所が、オーディションを開催するなんて超珍しい事だ。

昔から暁ママと「暁はイケメンだから将来はアイドルになるのよね~」「絶対アイドル向いてると思う!」なんて会話をよくしていたこともあり、私と暁ママは目を輝かせて暁を見つめる。

これはまたも無い絶好のチャンス!!

「おい。2人で話進めんな」

当の本人はというと、机の椅子に深く座り直し、スマホをいじりながら心底興味なさそうに呟いた。

「だって暁、顔もスタイルもいいし! 歌だって上手いじゃん!」

「そうよそうよ!もうこんなチャンス絶対ない!いい暁??」

「……勝手にしたら。どうせ受かるわけないし」


面倒くさそうにひらひらと手を振る暁。
私と暁ママは「やったー!」とハイタッチを交わした。

でもこの時の私は、これがまさか大ごとになるなんて思ってもいなかった。

「暁がオーディション受ける(かも)」というイベントを、ただの楽しいお祭り騒ぎとして消費していただけだったのだ。
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