再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「社長、俺が美桜を案内してもいい?」

「なに言ってるの。あなたはさっさと仕事しなさい」

社長は呆れたようにため息をつく。

「おばさんのケチ」

「こら、おばさんじゃないでしょ。ここでは社長と呼びなさい」

「分かりましたよ、社長!」

わざとらしく社長を強調して言うと、テツは立ち上がった。

「哲平、美桜さんのことが気になるのも分かるけど、自分の置かれている立場を忘れては困るわよ」

社長が鋭い視線をテツに向ける。

「しっかり実績を積んで、次のステップへ進む準備をしなさい。なんのためにこの会社に来たの?」

厳しいけど愛情のある言葉を投げかけられた瞬間、テツの表情が変わった。
さっきまでの軽さが消え、背筋が伸びている。
まったく隙がなく、別人みたいだ。
真っ直ぐに社長を見つめていて、思わず息をのんだ。

「美桜、ゆっくり社内を案内してもらって」

名前を呼ばれ、はっとする。

「じゃあ、仕事してくる。失礼しました」

テツは私の肩をポンと叩いたあと、軽く頭を下げて部屋を出ていった。

「哲平は美桜さんの前では素を見せているのね」

社長はクスリと笑う。

「素、ですか?」

問い返すと、社長は私を見て微笑んだ。

「あの子、外面は完璧だけど、ちょっと子供っぽいところもあるのよ。いずれは、父親の会社を継がないといけないから、きっと本人なりの重圧があると思うの」

その言葉に胸がざわついた。
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