再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「あー、店を出てタクシーに乗って帰ろうとしたら、取引先のやつも同じ方向だからって勝手に乗り込んできて……部屋までついてきた気がする」
テツは顎に手を添え、記憶をたどりながら話す。
それは覚えてるんだ。
なんかモヤモヤする。
「そいつがなんかデカい声で喋ってたのがうっとおしくて、帰らせたと思うけど」
記憶は大筋で間違ってはいない。
『その取引先の人は女性で、テツのことを名前で呼んでいたんだけど、どうして?』
本当はそう聞きたかった。
でも、それ以上は踏み込めなかった。
私には、そんなことを聞く資格はない。
どんな仲なのか気になったけれど、それを聞いてどうなるんだろう。
そう思い直し、私は無理やり気持ちを切り替えた。
「朝ご飯、食べれる? 和食なんだけど」
「もちろん。あー、腹減った。髪乾かして着替えてくる」
そう言って、洗面所へ向かった。
その間にみそ汁を火にかけ、魚を焼く。
今朝の献立は、ご飯、みそ汁、玉子焼きとオクラと納豆の梅肉和え、鯖の塩焼きだ。
テーブルの上に並べ終えたところで、テツが戻ってきて椅子に腰を下ろした。
「今朝も美味しそうだな。いただきます」
手を合わせて食べ始める姿を横目に、弁当を保冷バッグに入れる。
それから、自分の身支度をするために部屋へ戻った。