再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
六月中旬。
引き継ぎも終盤に差しかかり、緑さんが担当していた業務のほとんどが、私に任されている。

最初の頃は、何度も緑さんに『これで合ってますか?』と聞くばかりしていた。
今では会議資料の作成や伝票入力など、ひとりで進められるようになっている。

「もう大丈夫そうだね」

緑さんがパソコン画面を覗き込みながら、穏やかに笑う。

「本当ですか? 自分的にはまだ不安はあるんですけど」

「最初は誰でもそうよ。でも、困ったらひとりで抱え込まずに、周りに頼ればいいんだからね」

「はい」

そう返事をしながらも、少し寂しさを感じていた。

仕事を覚え、ひとりでこなせるようになったのは素直に嬉しい。
だけど、私の成長は引継ぎの終わりを意味している。
緑さんと一緒にいられる時間が、もう残り少なくなっていた。

「どうしたの? なにか分からないことでもあった?」

私がぼんやりしていたことに気づいたのか、緑さんが首を傾げながら声をかけてくる。

「いえ、なんでもありません」

慌てて誤魔化し、パソコン画面に向き直った。

パワーポイントを開き、各部署から届いた報告書をもとに、社内定例会議用の資料を作成する。
表やグラフを整え、案件の進捗や売り上げを色分けして見やすくまとめた。
最後に、数字の間違いや誤字がないかを確認して保存する。
会議で配布する部数を入力し、印刷データをプリンターに送った。
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