再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~

距離が縮まるにつれ、その顔に見覚えがあることに気づく。

テツが酔って帰ってきたときに、一緒にいた人だ。
そういえば、帰る方向が同じだと言っていたから、近所に住んでいるのかも知れない。

「あなたは……」

私が小さく呟いた瞬間、その女性は言葉を遮るように声を発した。

「この前、哲平の部屋にいた人よね」

「……そうですけど」

警戒しながら答えると、彼女は間髪入れずに踏み込んでくる。

「あなた、哲平とどういう関係?」

唐突な問いに、一瞬息が詰まる。
それでも、私は視線をそらさず彼女を見返した。

「いきなりそんなことを聞かれても、ほぼ初対面のあなたに答える必要はないと思いますけど」

できるだけ平静を装って言い返したけど、心臓は激しく脈打っている。
彼女は一度目を細め、それから短く息を吐いて口を開いた。

「確かにそうね。私は堂島(どうじま)まゆ。哲平の高校時代の彼女よ」

思わず息をのんだ。

その一言で、彼女のテツに対する距離感や呼び捨てにしていた理由も腑に落ちた。
薄々、そうじゃないかとは思っていた。
それでも、どこかで違っていてほしいという期待もあった。
はっきりと言葉にされると、複雑な気持ちになる。

テツの元カノ……。
その事実が、気づかないうちに私の胸を締めつけていた。

それより、どうしてそんな人がわざわざ私に声をかけてくるんだろう。
< 133 / 245 >

この作品をシェア

pagetop