再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「私は哲平のことが好きよ」
堂島さんは、迷いのない声で言い切った。
その真っ直ぐな言葉に、買い物袋を持つ手に自然と力が入る。
「高校のときは仕方なく別れることになったけど、お互いに嫌いで別れたわけじゃないの。職場は違っても、こうして仕事相手として哲平に会えたのは運命だと思ってる」
運命という言葉がやけに耳につき、胸がざわついた。
「夏木さん、ただの幼なじみなら邪魔をしないでくれる?」
「邪魔?」
思わず聞き返す。
堂島さんは表情を変えることなく、言葉を続けた。
「そう。どういう経緯で哲平の部屋にいたのか知らないけど、次からは弁えてもらえる? 私は哲平とやり直したいのに、あなたがいたら邪魔なのよ」
「それこそ、私とテツの問題だから、あなたに関係ないと思います」
感情的になるのは得策じゃないと思い、できるだけ冷静に返す。
「テツとやり直せる自信があるのなら、私のことなんて無視すればいいんじゃないですか?」
すると、堂島さんは目を細めて冷ややかに笑った。
「確かにそうね。でも、邪魔になる芽は小さいうちに取り除いておきたいの」
さっきから何度も『邪魔』を連呼され、苛立ちがつのる。
「呼び止めて悪かったわね。二度と会うことはないと思うけど、邪魔だけはしないで。それじゃ」
堂島さんは、踵を返してスーパーの中へ消えていった。
なんなの、あの人……。
残された私は、しばらくその背中を見つめたまま動けなかった。