再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「あー、もう」

思わず声が漏れた。

なんなのよ、あの人!
浴槽の中をスポンジで力任せに擦っていたら、勢いよく泡が飛び散った。
自分でも分かるぐらい、イライラしている。

好き勝手に言いたいことだけ言った挙げ句、二度と会うことはない?
それはこっちの台詞でしょ。

でも、あのスーパーを利用してるということは、また会う可能性はゼロじゃない。
本当に最悪だ。

それより、嫌いで別れたわけじゃないって本当なんだろうか。
あの人はやり直したいって言ってるけど、テツはどう思っているのかな。

蛇口に手を伸ばした瞬間、頭上からいきなり冷たい水が降ってきた。

「うわっ!」

思わず大声が出る。
慌てて蛇口を止めたけど、もう遅い。
髪も服も、全身びしょ濡れだ。

考え事をしていて、シャワーヘッドを持たずに水を出してしまった。
本当になにをやっているんだろう。
ため息をついたとき、バタバタと廊下を駆ける音が聞こえた。

「え、なに?」

そう口にした瞬間、ドアが勢いよく開く。
血相を変えたテツが、スーツ姿のまま飛び込んできた。

「美桜、大丈夫か? 叫び声が聞こえたけど、なにがあったんだ?」

「あ、お帰り」

「お帰りじゃねぇよ、ってどうしたんだ? びしょ濡れじゃないか」

私の姿を見たテツが目を丸くする。

「お風呂掃除してて、シャワーヘッド持たないままお湯を出しちゃったんだよね。そしたら上から水が降ってきて」

苦笑いしながら答える。
< 136 / 245 >

この作品をシェア

pagetop