再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「夏木さん? 下のお名前は美桜さんでしたか?」

「そうですが……なにか気になることでも?」

副社長は少し戸惑ったように答えた。
私もどうして名前を知っているんだろうと、二人の会話を聞きながら首を傾げる。

「以前、彼女が惣菜店で働いていたのを何度かお見かけしたことがありまして」

「そうなんですね」

上村社長の言葉に副社長が頷いた。

「ええ。それに、うちの母がその店に通っているんです。そこの従業員の方によくしてもらっていると話していて、その中で美桜さんの名前も聞いていたんです」

その話を聞いて、もしかしてと思った。
脳裏に浮かんだのは、安子さんの顔だった。
私の表情を見て察したのか、上村社長が柔らかく微笑んだ。

「覚えていらっしゃるか分かりませんが、お久しぶりです。母がいつも、みなさんの話を楽しそうに聞かせてくれていたんです」

私は慌てて席を立ち、軽く頭を下げる。
上村社長が落ち着いた口調で続けた。

「『美桜ちゃんは若いのにしっかりしていて、こんな年寄りにも笑顔で話しかけてくれるから、元気をもらえるんだ』と母がよく言っていました」

そんなふうに思ってくれていたなんて知らなかったから、くすぐったい気持ちになる。
あの店で過ごした時間は、私にとっても楽しいものだった。

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