再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
幼なじみを逃がさない side哲平
仕事を終えると、行きつけのバー『ダークムーン』へ足早に向かった。
バーの前に立ち、木製の扉を開けるとドアベルの音が静かに響く。

薄暗い店内には落ち着いたジャズが流れている。
カウンターの端では、中年の男性二人がグラスを傾けていた。
その反対側に視線を向けると、見慣れた顔がある。
友人の貴臣だ。

俺に気づいた貴臣が「よう」と言って軽く手を挙げた。

貴臣は老舗玩具メーカーの御曹司でありながら、肩書きに甘えることなく自分の力で結果を出している男だ。
俺にとってよきライバルであり、常に刺激を与えてくれる存在でもある。

すっと通った鼻筋と涼しげな目元には、幼い頃の面影が今も残っている。
一見冷たそうに見えるが、本当は情に厚い。
昔から俺の性格をよく理解し、いつも冷静な言葉をくれる。

「お疲れ」

ネクタイを緩めながら、貴臣の隣に腰を下ろす。

「哲平くん、いらっしゃい」

カウンターの奥でグラスを磨いていたオーナーの朔斗さんが穏やかに微笑んだ。

「朔斗さん、ジンジャエール」

そう注文した瞬間、貴臣が怪訝そうに眉を寄せた。

「は? お前、飲まないの?」

「まぁな」

「なんで? いつも酒飲むだろ」

「そういえば、この前も烏龍茶だったよね」

朔斗さんが思い出したように口を挟む。

「まあ、そうですね」

美桜を連れて来たとき、かなりテンパっていた。
その様子を見ていた朔斗さんが、意味深な笑みを浮かべていた記憶があるので、少し気まずい。
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