再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
そのとき、カウンターにいた男性客から声がかかった。
「マスター、注文いい?」
「はい、少々お待ちください」
朔斗さんは別の客に返事をすると、俺の前にジンジャエールを置いた。
グラスの中の氷を眺めながら小さく息を吐く。
今日、ここに貴臣を呼び出したのには理由があった。
「あのさ、話があるって言っただろ」
「なに?」
「夏木美桜って覚えてる?」
「美桜? あぁ、お前が好きだった子だろ」
すぐに思い出したのか、貴臣がニヤリと口角を上げる。
「卒業式に暴言吐いて嫌われたんだよな」
「お前……ホント余計なことまで覚えてるよな」
苦々しく返すと、貴臣は面白そうに笑う。
昔のことなのに、コイツの記憶力のよさに思わず舌打ちしたくなった。
「この前、美桜に再会したんだ」
「マジで? それでどうしたんだ? 向こうはお前のことを覚えてたのか? 暴言の件、許してもらえたのか?」
次々と質問してくる。
貴臣は、俺が美桜のことを引きずっていたことを知っている。
ここで酒に酔って愚痴をこぼしたこともあったので、朔斗さんにも心配されていた。
だから、この二人にはちゃんと話しておきたかったんだ。
「最初は気づかれなかったけど、俺が名乗った瞬間、あからさまに嫌な顔して逃げられた」
一瞬の沈黙のあと、貴臣が吹き出した。
「あはは、逃げられたのかよ」
「うるさい、笑うなよ」
「夏木さん最高だな。それでどうなったんだ?」
笑いながらも、興味津々といった様子で続きを促してくる。