再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「はいはい、ごちそうさま。俺、お前の惚気話なんか聞きたくねぇよ」
呆れたように肩をすくめたものの、口元には笑みが浮かんでいた。
「まあ、とにかくよかったな」
貴臣はビールのグラスを持ちあげ、軽く俺のグラスに合わせる。
「ありがと」
「幼い頃から想い続けていた相手だろ。大切にしろよ」
過去を知っている貴臣の言葉は重く、痛いほど胸が詰まる。
「言われなくても分かってるよ」
噛みしめるように、そう返していた。
「それにしても、すごい執着だよな。そこまで哲平を虜にする夏木さんに今度会わせてよ」
ニヤリとした顔を見て、思わず眉を寄せる。
「嫌だ」
「即答すんなよ。なんで嫌なんだ?」
「お前、変なことを美桜に吹き込みそうだからな」
「失礼な! 哲平に不利になるようなことを言うわけないだろ」
「どうだか」
そう言って顔を見合わせると、二人同時に吹き出した。
貴臣とは長い付き合いだ。
昔からくだらないことを言い合い、笑い合ってきた。
こうして、気を遣わずに軽口を叩き合える関係も悪くないと思っている。
「まぁいいよ。今日は俺が奢ってやる」
「え、マジ?」
「ああ。お前は早く帰れ。初恋が実った記念だ」
からかうような言い方だったけど、貴臣なりに祝福してくれているんだろうと思ったら、少しくすぐったい気持ちになった。
「サンキュ、じゃあまた」
「おー、またな」
椅子から立ち上がり、他の客と話していた朔斗さんに会釈し、バーをあとにした。