再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「美桜ちゃん、少し早いんだけどお昼行かない? 前に話してたラーメン屋に行こうと思うんだけど」

松崎恵利(まつざきえり)さんが私の席まで来て、声をかけてくれた。
歓送迎会のとき、緑さんに『松ちゃん』と呼ばれていた人だ。

「行きます! でも、このファックスを送らないといけなくて……。あとから追いかけるので、先に行っててください」

一枚の紙を持って席を立つ。
さっき総務部長から、すぐに送ってほしいと頼まれたものだ。
送信だけでよく、確認は部長がすると言っていた。
恵利さんを待たせるわけにはいかないと思ったんだけど。

「えー、寂しいこと言わないでよ。別にラーメンは逃げないから待つよ」

「いいんですか? すみません。すぐ送ります」

「謝らないでよ。私が一緒に行きたいだけだし。あと、焦らないでいいよ。送り先を間違えたら困るしね」

そう言って笑う。

「ありがとうございます。ちゃんと確認して送りますね」

番号をもう一度、確認してファックスを送ると自分の席へ戻る。
机の上を片付けてから、離席中の部長の受話器のところに『ファックス送りました』と書いた付箋を貼った。

財布の入ったバッグを持ち、恵利さんのもとへ駆け寄る。

「お待たせしました」

「全然! じゃあ、行こうか」

二人並んで事務所を出た。
エレベーターで一階まで降り、オフィスビルを出た瞬間、強い日差しに思わず目を細める。
持っていた日傘をさして、歩き始めた。
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