再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「うちの会社っていうのは、海鳴建設のことなんだけど。実は、今年で創立三十五周年なんだ。それで、俺も出席しなきゃいけなくて。美桜には婚約者として親に紹介したい」
「婚約者……私が?」
信じられない気持ちのまま問い返すと、テツは眉をひそめた。
「他に誰がいるっていうんだよ」
呆れたように言われ、小さく息をのむ。
将来、テツが海鳴建設を継ぐことになるのは聞いていた。
だからこそ、私がテツと付き合うということは、軽い気持ちではいられない。
いつかは覚悟を決めなければいけないと、頭の片隅で思っていた。
「嫌か?」
不安そうに尋ねる声に、私は首を横に振る。
「嫌じゃないんだけど、突然だからビックリして」
「ごめん、そうだよな。話すタイミング見計らってたら、どんどん日にちが経ってて。また俺の悪い癖が出てた」
申し訳なさそうに眉を下げた。
その表情を見ると、ずっと悩んでいたんだろうなというのがうかがえる。
私は胸の内を口にした。
「あのさ、私は一般家庭で育ったし、家柄的にもテツには不釣り合いだと思うんだよね」
好きな人と付き合えるのは嬉しかったけど、現実的なことを考えると二の足を踏んでしまうのも本音だった。
「なに馬鹿なこと言ってんだ。そんなの関係ないだろ」
テツは迷いなく言い切った。