再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
「お先に失礼します」
その日の仕事を終え、事務所を出た。
エレベーターで一階まで降り、オフィスビルを出た瞬間、不意に誰かに視線を感じた。
気のせいかなと思ったけど、脳裏に斉藤さんの顔がよぎる。
急に怖くなり、歩く速度を速めた。
すると、背後からカツカツとヒールの音が近づいてきて、心臓が跳ねる。
恐る恐る振り返ると、見覚えのある女性が立っていた。
「ちょっと待ちなさいよ」
その声に私は目を見開いた。
堂島さん……?
どうしてここにいるんだろう。
そんなことを考えていたら、堂島さんが口を開いた。
「なんで、あなたがあのビルから出てきたの?」
「なんでって、職場があるからですけど」
できるだけ冷静に答えると、堂島さんは眉をひそめた。
「もしかして、哲平と同じ会社で働いているの?」
「そうです」
「嘘でしょ……。あなた、ただの幼なじみって言ってたじゃない!」
堂島さんは唇を強く噛み、怒りを隠すことなく私を睨みつけてくる。
そういえば、前に会ったときに、そんな説明をした気がする。
あの頃はまだ、テツと付き合っていなかったから、深く考えずに言ってしまった。
「それより、堂島さんはどうしてここに?」
「哲平に話があったから待ってたのよ」
それって、テツを待ち伏せしていたってこと?