再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~

聞いているだけで胃が痛くなる。

そんな綱渡りみたいなやり方で、よく切り抜けられたなと思う。
運よく無事だったから、こうやって笑っていられるけど、そうじゃなかったらと考えただけで背筋が冷える。

「まあ、結果オーライってことで。美桜、手は大丈夫か?」

テツの視線が、私の腕に落ちる。
つられて見ると、掴まれていた部分は赤くなり、爪痕まで残っていた。
さっきまでは恐怖のほうが勝り、気にする余裕がなかったけど、落ち着いた途端にじわりと痛みが戻ってくる。

「少し痛いけど大丈夫」

赤くなったところを擦りながら答えると、テツの表情が一瞬で険しくなった。
眉間に深いしわが寄り、私の手首を見る彼の目には怒りが滲んでいる。

「あいつ、こんなになるまで掴みやがって。一発ぐらい殴っておけばよかった」

「その気持ちだけで十分だよ」

テツの言葉に、思わず苦笑いする。
さらっと物騒なことを言うのはやめてほしい。
でも、私のために怒ってくれることが嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。

「とりあえず、これでストーカー問題も解決だな」

テツの言葉にはっとした。
そうだ。
ストーカーのことがあったから、私はテツの家で暮らすことになった。
でも、それが解決したということは、もう彼の家にいる理由はなくなる。
やっと普通の生活に戻れるんだ。

ストーカー問題が解決して嬉しいはずなのに、なぜか心は晴れない。
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