再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
でも、直接なにか危害を加えられたりした訳ではないから、警察に相談しようにも今の段階では難しい。

本人が否定したり、私の勘違いだと言われたら、それでおしまいだ。
それでも、斉藤さんは注意しておかないといけない人だと思う。
結局は、距離を置いて様子を見るしかないんだ。

そのことを、パートの人たちに打ち明けると、すごく驚いていた。

「その人って、真面目そうなスクエアタイプの眼鏡をかけてる人でしょ。前に一度、美桜ちゃんのことを聞いてきたわ」

梶川さんが思い出したように言う。

「あの手のタイプは思い込みが激しそうだし、美桜ちゃんの対応に勘違いしたのかもね。美桜ちゃん可愛いから」

杉山さんも、困ったように眉をひそめた。

二人とも四十代後半で、子育てが落ち着いたのをきっかけに、この店で働き始めた人たちだ。

「美桜ちゃんと一緒に働けないのは残念だけど、変なことに巻き込まれるよりはいいわよね」

少し寂しそうに梶川さんが言う。

「あの男が来ても美桜ちゃんの情報は与えないし、目を光らせておくから任せておいて」

杉山さんの頼もしい言葉に笑顔で頷いた。

今日、休みだった道端さんにも電話で事情を伝えた。
孫がいるとは思えないぐらい元気な人で、私の話を聞くとすぐに、協力を申し出てくれた。

みんな、驚くほどあっさりと受け入れてくれて、どれだけ人と職場に恵まれていたのかを改めて実感する。

名残惜しさを感じながらも、みんなに背中を押されるようにして店を出た。
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